『バルトン先生、明治の日本を駆ける！』を読んで

摘要

この度、稲場紀久雄先生によって『バルトン先生、明治の日本を駆ける！』が発刊された。稲場先生は既に『下水道論の歴史的探訪』（昭和55年）と『都市の医師』（平成5年）を出版されている。前者のモティーフは「幕末から明治時代にかけて、欧米世界の衝撃を受けて自己変革を遂げていく日本の近代ィ匕の過程で、社会の底辺を構築すべき下水道論の根源を探訪し探究することであった」(久保赳氏)。本書は、当時蔓延していたコレラ対策や都市化の進展とともに悪化する生活環境の改善に必死に取り組み、上下水道の必要性を説いた長与専斉と、その実現のために招聘されたW. K.バルトンに光を当てている。