市民社会と行政法

摘要

新基地建設の経緯1995(平成7)年9月4日，沖縄のキャンプ•ハンセンのアメリカ海兵隊員と海軍軍人ら3人が12歳の少女を集団強姦した事件が発生しました。マスメディアはしばしば強姦事件を暴行事件と報じますが，両者は異なる犯罪であり，強姦を「暴行」と報じるのは誤解を与えかねませんから改めるべきでしょう。この集団強姦事件は沖縄においては単純な刑事事件で終わることはなく，県民総決起大会には8万5000人が集結する激しい米軍基地反対運動を誘発し，「世界ー危険な飛行場」といわれる普天間基地の返還運動へと発展していきました。戦争中の塗炭の苦しみに加えて，敗戦後1972年の復帰までは日本国憲法の適用がなく，復帰後も民主的平和国家の国民であれば，当然に享受すべき人権が実際上蹂躙され続けてきたのが沖縄の現実でしたから，これらの事件は民衆の怒りのマグマを噴出させるきっかけを与えたといっても過言ではないでしょう。