日本書紀記述、極地研など見解

摘要

日本最古の天文記録は、日本書紀に記された扇形オー口ラだった。国立極地研究所の片岡龍峰准教授、国立国文学資料館の山本和明教授を中心とする研究グループは、日本最古の天文記録として知られる「日本書紀」推古28年(620年)のくだりに記された赤気について、近年の古典籍を用いたオーロラ研究で解明されてきた扇形オー口ラと整合的であることを明らかにした。着目したのは、「形似雉尾」という表現で、緯度の低い地域で見られる扇形のオーロラを例えたのだろうという解釈を新たに提唱した。倭の人々の感性をうかがい知ることができ、多くの初期の写本に「似雉尾」と書いてあるのは「似雉尾」が誤写されたものであろうとする、明治の研究者·飯田武郷による先行研究を裏付ける成果だ。総研大文化科学研究第16号に掲載された。