「戦力には給与」が常識現行案では不十分

摘要

安倍首相は会議で「博士を目指す全ての学生が、生活面での心配をすることなく研究に打ち込めるよう、奨学金などの支援を大幅に拡充します」と挨拶した。実際には、修士から博士へ進んだ博士後期課程学生の半数へ生活費相当額を支援するというものだ。具体的には、年間180万円以上、月額15万円以上を受け取っている学生は15年度時点で博士後期課程学生全体の約10.4%でしかない。それを約2倍にするというのが、目標になる。しかし、相当額の中には授業料減免分も含まれているため、実質、月額11.5万〜12.8万円となり、東京都の単身者の生活保護費よりもれでは親の援助や学生ローン(奨学金）がなければ生活は厳しい。この対策として、RAの金額（平均月額3.8万円）を増額することも重要だが、本来は、特別研究員DC (月額20万円+研究費150万円以内）の採用人数を3倍以上にして、目標を達成するべきであろう。そもそも博士課程学生は研究力を担う重要な戦力であり、給与を支払うのが欧米での常識だ。今回のパッケージ実現には、まだまだ課題が残されており、それをどのように解決するのかが第6期科学技術基本計画の検討の中で求められている。