技術階層ごとに待ち受ける課題国挙げて立ち向かう時期 「デジタルデータ長期安定保存に迫る危機」第3回 科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)からの提言

摘要

ハリウッドの映画や文化遺産などの重要なデジタルデータをヽ長期にわたって安全に保存し、遠い将来でも確実に読み出したいという要望は必然だが、現状ではその要望は担保されておらず、火星探査機バイキングのデータが読めなくなったようなデータ喪失の危機が迫りつつある。これに対し、過大なコストをかけずにテジタルデータの超長期保存が可能になれば、人類の歴史•文化資産や科学的知識の継承に大きな恩恵をもたらすだけでなくヽ20〜30兆円規模の大きな経済的効果も望める。これまで我々は、微細化技術の進展により保存媒体の大容量化を進め、マイグレーション(コピー)によりデータを移し替えることで、デジタルデータの長期保存問題を先送りしてきたが、将来にわたって人類の貴重なデータを長期保存していくためには、そろそろ正面から取り組まないと間に合わない。そういう時期がもう来ている。=おわり=(この連載は、JST-CRDSの河村誠一郎フェコー、佐藤勝昭フェロー、鈴木慶二フェロー、永野智己フェロー、馬場寿夫フェローおよび江連三香特任フェローが執筆した)。