長鎖非コードRNAによる 体細胞組織分化の制御

摘要

長鎖非コードRNA「TINCR」による体細胞組織分化の制御について、スタンフォード大のM.Kretz博士らが報告している。(ネイチャー7431号)数千種類に及ぶヒトの長鎖非コードRNA(lncRNA)のうち、幾つかについてはその機能が明らかにされているが、体細胞組織分化でlnCRNAがどんな役割をはたしているのかについては、まだほとんどわかっていない。米国の科学者らはこのほど、3.7キロ塩基のlnRNAであるTINCR(terminal differentiation-induced ncRNA)が、転写後機構によってヒトの上皮分化を制御することを明らかにした。TINCRは主要な分化遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)量を増やすのに必要で、FLG、LOR、ALOXE3、ALOX12B、ABCA12、CASP14、ELOVL3などの、そうした遺伝子の多くはヒトの皮膚疾患で変異している。