藤原賞決定

摘要

公益財団法人藤原科学財団は第54回藤原賞の受賞者を、香取秀俊氏(東京大学大学院工学系研究科教授)と宮脇敦史氏(理化学研究所脳科学総合研究センター副センター長)の両氏に決定した。同賞は科学技術の発展に大きく貢献した研究者が対象。受賞者にはそれぞれ賞状と賞牌、副賞1千万円が贈られる。贈呈式は6月17日に学士会館(東京都千代田区神田錦町)で行われる。香取氏の受賞研究業績は「光格子時計の発明と実現による高精度原子時計技術の開発」。香取氏は01年に「光格子時計」を提案。これはレーザー光で作り出された光格子の中に原子を閉じ込め、1度に多数の原子を観測することでわずか数秒の測定で原理的には18桁の安定度を達成できるものだった。03年にはストロンチウムを用いた最初の実証試験を実施。これ以降、世界中の研究者が開発に着手し、なかでもストロンチウム光格子時計では、15桁超の精度で周波数計測することが実現されている。11年には時間計測の高速化に挑戦し、1600秒の平均時間で17桁の周波数比較に成功した。香取氏の論文は多くの研究者に引用され、これらの功績により日本IBM賞をはじめとした数々の賞を受賞している。