量子ポイントコンタクト'0.7異常'の起源

摘要

量子ポイントコンタクトにおける「0.7異常」の微視的起源について、ルードヴィッヒ·マクシミリアン大のF.Bauer博士らが報告している。(ネイチャー7465号)量子ポイントコンタクトとは、例えば局所ゲートに電圧を印加することによつて、2次元電子系に通常形成される1次元状の狭いくびれである。ポイントコンタクトの線形コンダクタンスは、チャンネル幅の関数として測定すると、GQ=2e2乗/hという単位で量子化される。ここでeは電子電荷、hはプランク定数である。しかし、このコンダクタンスは、0.7GQ付近に意外な肩も持っている。この現象は「0.7異常」として知られているが、その起源はいまだに議論の的になっている。過去に提唱された理論的説明では、自発的スピン偏極、強磁性スピン結合、近藤効果につながる準束縛状態の形成、ウイダナー結晶化、非弾性散乱の様々な取り扱いが引き合いに出された。しかし、通常付随するゼロバイアスピークを含め、0.7異常領域における様々な実験観測結果を完全に再現する明確な計算結果は、まだ出ていない。