鳥インフルエンザウイルスが ヒトに適応する経路

摘要

ヒトから分離されたH7N9インフルエンザウイルスの受容体への結合について、MRC国立医学研究所のX.Xiong博士らが報告している。(ネイチャー7459号)中国でH7N9インフルエンザウイルスに感染したことが確定している132の症例では37人が死亡し、多数が重症となった。これらのヒト感染には、ウイルスに感染した家禽との接触が関与していたらしい。英国の科学者らはこのほど、このH7N9ウイルスの受容体結台特性について調べ、鳥H7X3ウイルスの受容体結台特性と比較した。ヒトH7ウイルスは、農H7ウイルスに比べると、α-2、6結合型シアル酸類似体(ヒト受容体)に対する親和性が大幅に高いが、その一方で、鳥ウイルスの特徴であるα-2、4結合型シアル酸類似体(鳥受容体)に対する強力な結合能を保持していることがわかった。したがって、ヒトH7ウイルスは、鳥受容体よりもヒト受容体への還択性が高いという、パンデミックウイルスの特徴は持っていない。