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摘要

気候変動予測に基づき、米国ニューヨーク市マンハッタン区では、暑さによる死者数の増加分が、寒さによる死者数の減少分を上回るという結論が報告された。この新知見は、気候温暖化に対する公衆衛生上のリスク管理の重要性を明確に示している。都市部における気温上昇は、暑さによる死者数の増加と寒さによる死者数の減少につながる可能性があるが、1年を通じた正味の影響はこれまでのところほとんど解明されていない。今後の温暖化が死者数に与える影響に関する研究の大部分は、1個か数個の気候モデルに基づくものに過ぎないため、そうした結果を比較することができなかった。また、こうした分析は、1年の全体にわたる死亡リスクを評価したものではないのが通例である。P.Kinneyらはこのほど、将来的な気温による死者数の推定における、この2つの欠点の両方に取り組んだ。とくに今回初めて行われたのが、2つの異なる温室効果ガス排出シナリオによる16の全球気候モデルからダウンスケールした予測結果を適用して、2020年代、50年代、80年代のマンハッタンでの気温による死者数を月別で予想することであった。それぞれのモデルとシナリオによる年間死者数の予測に対する影響は、20年代では似ているが、50年代については、相違が出始め、80年代ではその違いが顕著にみられるようになった。Kinneyらは、公衆衛生部門の適応計画戦略を見直して、暑さのリスクが高い6〜8月以外の月での監視を促進させる必要がある可能性を指摘している。(ネイチャー•クライメイトチェンジ電子版)。