自閉症スペクトラム障害者まねされたことの認知苦手 生理研、脳の活動から解明

摘要

自閉症スペクトラム障害(ASD)者は、自分の動作がまねをされたことに気づくのが苦手といわれている。ただ、脳のどのような働きが原因で、苦手なのかはよくわかっていない。生理学研究所心理生理学研究部門の定藤規弘教授、福井大学の小坂浩隆特命准教授、金沢大学の棟居俊夫特任教授らの研究ダループは、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用い、自分の動作が相手にまねされたときの脳活動を測定。その結果、他者のまねに気づくことに関わる脳部位の活動が、健常者に比べASD者で減少していることを突き止めることに成功した。目で見た情報を専ら処理する脳部位は視覚野と呼ばれる。その視覚野の中には、観察した身体の部位に対して強く反応する領域「EBA」(Extitriate Body Area)がある。最近の研究でEBAは、まねされているときに活動が高まることがわかってきた。研究グループは、知的障害をもたないASD群(平均年齢25人)と、年齢と知能指数を一致させた健常者22人に対して、自分で指を使った動きを行い、その直後に他者が行う動作を観察した。他者の動作と自分の動作が同じ場合は「まねされた」ということになる。