霊長類大脳皮質領野で特定遺伝子オン/オフ

摘要

大脳皮質は、ヒトを含む霊長類でよく発達し、各部域が連合野、運動野、視覚野などの"領野"として機能分担していることは、よく知られている。ただ、領野の違いがどのように形成されるのかは、いまだ多くの謎に包まれている。基礎生物学研究の脳生物学研究部門の畑克介氏、山森哲雄教授らの研究グループは、マカクザルを用い、連合野特異的に発現する遺伝子のグループの遺伝子発現を調節するプロモーター領域で高い割合でメチル化されていること。連合野特異的に存在しているメチル化DNA結合タンパク質の一つとして知られるMBD4がメチル化プロモーター領域に結合することで、連合野特異的に遺伝子が発現することを明らかにすることに成功した。これは霊長類の脳において、領野特異的な遺伝子のON/OFFの調節機構が明らかとなった初めての例である。