リパーゼのユニークな反応機構を利用した機能性脂質の製造

摘要

産業的に幅広く利用されているリパーゼは油脂を加水分解する酵素で，エステル化やアルコリシスの両反応も触媒することが可能である。本酵素は，水過剰下でもエステル化が効率よく進行するという，他の酵素には認められないユニークな特徴を有する。さらに，リパーゼの種類によって異なった脂肪酸特異性を示す。これらの性質を把握し，上手に使いこなすことにより，産業的な機能性脂質の製造•精製を行うことが可能となる。本稿では，リパーゼの反応機構や基質特異性に関する基本的な事項について述べるとともに，リパーゼの特徴を生かした機能性脂質の製造•精製の事例を概説する。