大学および大学院における環境教育:環境冠学部の実際とその方向性

摘要

日本において環境教育は初等中等教育を中心に行われ，1990年代後半以降は市民参加型やNGOの視点によるものも行われるようになった。一方，大学における環境教育は個々の教員の実践報告が2000年以降増加しているものの，教育学（高等教育）研究としてはほとんど行われていない。筆者は大学院時代から，教育学の領域において大学・大学院レベルの環境教育を専門に研究してきた。当時は地球環境問題のクローズアップ，リオサミットの開催，文部省（当時）による環境教育指導資料の発行，教育課程の改訂に伴う生活科の設置等の時代背景のもと，筑波大学を筆頭にした教員養成系の学部を置く大学において，環境教育という用語が普及し始めた頃であった。