冬に備える地域の生活風景に学ぶ: house M

摘要

舞鶴は湾岸の都巿である。日本海気候に属し、夏冬の寒暖の差は大きくないものの、多湿で積雪する。この住宅地を歩くと比較的古い住宅の前や横に、大きく上屋が架けられた半屋外スぺースがいくつも見つけられる。車を止めるだけにしては大きいそこは、スタッドレスタイヤゃ雪スコップ、野菜が入つたコンテナが置かれ、この地域の冬の厳しさに備えている。その一方で屋根から吊るされた物干し竿やべンチ、小さなテーブルなどを備えている住宅も多い。庭と繋がったり2階レベルに設けられたもの、簡素な壁で囲われたサンルーム的なものなど、規模やつくり方もさまざまだ。しかし共通しているのは、住まい手自らがそこに改良を加えていきながらつくる生き生きとした生活のセンスであり、この環境に生きることを出発点として地域固有の風景を形成している。厳しい気候条件も含めたその豊かさを享受し町に返す。そのような住まいをここにつくりたいと考えた。