降雨による地盤災害と防止策

摘要

現在の日本の鉄道線路のほとんどは，昭和初期までに建設されたものですが，当時の鉄道には長大トンネルや長大橋梁を建設する技術力や資金が無かったこともあり，急峻な山間部を縫うように敷設されました。このため，鉄道沿線では毎年どこかで大雨によって斜面崩壊などの地盤災害が発生しています。降雨を起因とする地盤災害は，その多くが「土砂災害」といわれるものです。土砂災害は，一般的には土や岩（あるいはそれらと水の混合物）が斜面の上方から下方に移動し，人や施設に被害を与える事象を総称したものであり，斜面崩壊，地すべり，土石流，落石などが含まれます。