リサーチ•ダイジェスト

摘要

ノーズ可動クロッシングは，軌間欠線部をなくし，車両が速度を低下することなく基準線側を通過することができる機能を有しており，新幹線の分岐器における高速走行には不可欠な軌道構造です。現在，新幹線が高速で走行する分岐器には，粘り強く割れにくく，耐摩耗性に優れている高マンガン鋼を用いたノーズ可動クロッシングが使用されています。ただし，鋳鉄製であるため，内部の微細な空隙を完全に除去することが難しく，また，超音波による探傷検査が困難なため，内部傷の進展を把握することができません。さらに，材質が異なるため前後のレールとの溶接が難しいです。そこで，国内の現有設備および技術を活用し，超音波探傷検査が可能で，前後に接続するレールとの溶接が容易となるレール鋼を用いた新幹線用ノーズ可動クロッシングを開発し，転換試験，有限要素解析，鉛直載荷試験および走行試験を実施し，実用に供せられる性能を有することを確認しました。