リサーチ·ダイジェスト

摘要

頭部全体を測定する高密度脳波や自律神経系指標，視線,行動などを運転シミユレータ操作中に測定できる，生理情報複合計測システムを構築しました。また，鉄道運転シミュレータを用いて，運転時の脳活動を含む生理計測実験を実施しました。この結果，アクシデント発生時（線路内支障物の発見時），適切な行動までの時間が長かった実験参加者において，特徴的な脳波変化が観察されました。また，日常的に生じる程度の緊張や集中状態は，全ての被験者に共通するような生理変化は見出されず，個人ごとに異なることが確認されましたが，その一方で，個人内であれば再現性があることがわかりました。今後は，これらの知見をもとに，脳波と自律神経系の個人内の再現性がある反応パターンを抽出して，運転士の生理心理状態を推定する方法を開発し，将来的には運転士支援システムの実用化につなげたいと考えています。