実構造物に適用した効率施工型再アルカリ化工法の補修効果

摘要

再アルカリ化工法は、中性化が進行した鉄筋コンクリート構造物に対し、アルカリ性溶液を鉄筋近傍まで浸透させ、コンクリートのアルカリ性を回復し、ひいては鉄筋の防食を図る電気化学的補修工法である。当社では試験施工の結果を踏まえ、2001年から実構造物に適用しており、これまでに約15、000m~2の施工実績がある。この再アルカリ化工法を適用した構造物の現地追跡調査結果から、長期にわたって鉄筋の防食効果が持続していることを確認しており、さらなる適用拡大に向けて施工の効率化の検討を行っている。施工の効率化とは、従来の施工仕様である電流密度1A/m~2·通電期間14日間（以下、従来施工型という）に対して、積算電流量は同一であるが、電流密度2A/m~2·通電期間7日間（以下、効率施工型という）へ仕様変更し、ェ期の短縮を図るものである。効率施工型については、過去に実施した供試体実験において、従来施工型と同等のアルカリ性の回復効果を有することや、電流密度を大きくすることによる鉄筋とコンクリートの付着強度の低下が軽微であることを確認しており、実構造物に適用する際に耐荷力に与える影響は小さいことが分かつている。今回、効率施工型を実構造物へ試行し、従来施ェ型と比較して同等のアルカリ性の回復効果が得られるかどう力、、また効果の持続性について検証を行った。本稿では、その結果および施工管理上で確認された課題について報告する。