英米の鉄道システム発展の歴史的考察（その10）

摘要

19世紀、米英の各鉄道会社は、自社の勢力拡張のため、自社が採用している軌間（ゲージ）を広めようと、血のにじむような軌間の争い、世にいう「軌間戦争」を繰り広げた。その結末は、米英両国とも、ジョージ・スチーブンソンが提唱した4フィート81/2インチ（約1,435mm）が勝ちを制し、この軌間が世界の標準軌間となったのである。ここでは、まず、軌間と関係の深い「車輪」から調べて行こう。紀元前3000年頃、メソポタミア地方を支配していたシュメール人により「車輪」が発明された。この発明は、滑り摩擦を転がり摩擦に変え、輸送効率を数十倍に増強するという人類技術史上特筆すべき発明であった。そのシュメール人の発明した車輪は、車輪自体は木板を組合わせ、ほぼ円形になるよう周囲を削りとった円盤を使用していた。