車両・電力が連携した回生電力有効活用の取組み

摘要

車上におけるモニタリングシステムの機能向上、車上から地上への情報伝送システム及び地上側でのデータベース構築という車両の状態を把握できる環境が整えられてきたことにより、営業運転における回生ブレーキ動作状況や架線電圧の変動についても、きめ細かく容易にデータ収集することが可能となったためこれらの状況を定量的に分析が可能となった。回生率の向上のために、変電所から架線への送り出し電圧を下げて回生失効の発生を減らすことは容易であるが、送り出し電圧を下げると、大きな電力を必要とする列車が走行した場合等において架線電圧が低下し、列車が走行できなくなる恐れもあるため、回生失効の抑制と列車が所定の性能を発揮して走行することを両立させる送り出し電圧を設定する必要がある。そこで、これらのデータを活用し電力側において、送り出し電圧を下げても安定輸送に影響を及ぼすおそれが小さい変電所を選定し送り出し電圧の適正化を図った。この結果、車両キロ当たりの受電電力量で約7.2％減少させるという成果が得られたので車両側の取組みを中心に紹介する。