9世紀後半の赤石山地ドンドコ沢岩石なだれが形成した堰き止め湖沼堆積物中の材化石群

摘要

赤石山地北東部にある鳳凰三山•地蔵ケ岳（標高2,764 m)の東面を流れるドンドコ沢（図1)には大量の花崗岩巨礫を含む厚い礫層が長さ3.6km以上にわたって分布している.この礫層は甲斐駒ケ岳花崗岩（尾崎ほか，2002) からなる地蔵ケ岳の斜面が大規模な崩壊を起こしたために発生した岩石なだれ堆積物である（苅谷，2012).現在，ドンドコ沢右支川と大棚沢（小武川本川上流部）沿いの2ヵ所の露頭面にみられる砂-シルト層は.この岩石なだれによつて河道が閉塞して形成された堰き止め湖沼•氾濫原堆積物だと考えられている（苅谷，2012;木村ほか，2018a).