粘性・粘弾性ダンパーを有する高層建物の風応答特性に関する風洞実験

摘要

地震時や強風時の安全性を確保し、日常吹くような風に対する居住性の向上を目的として、近年建設されている多くの高層建築物に制振構造が採用されてきている。現在多くの制振装置が開発・実用化されているが、そのなかでも粘弾性ダンパーは、風や交通振動等によって発生する微少変形から、大地震の非常に大きな変形まで安定したエネルギー吸収性能を発揮することが知られており、地震と台風が多発する日本の高層建築物の制振に、粘弾性ダンパーを用いる利点は多い。しかし、地震に比べ継続時間が長く、かつ幅広い周波数成分を有する風力が作用した場合、温度・振動数依存性を有する粘弾性ダンパーが設置された制振構造の風応答特性については殆ど明らかにされていない。