モルタル外壁の変形拘束効果を考慮した解析モデルによる木造住宅の実大振動台実験の再現

摘要

By the recent researches of the shaking table tests of wooden post-and-beam houses, the effect to the seismic performance by exterior walls was not negligible. In this paper, the new numerical analysis model for exterior walls like mortar walls in Japanese post-and-beam wooden houses was suggested and the reproductive numerical analyses of the shaking table tests conducted at E-defense (NIED, Miki-city, Japan) were executed to estimate the effect to the seismic performance by exterior walls. By the time history response analyses of shaking table tests for two-story wooden houses, it was found that the multi-story effects and size effect of the mortar walls were realized by our modeling method.%木造住宅の終局時の耐震性能を正確に把握することのできる解析手法を提案することを目的として、振動台実験に用いられた美大木造住宅の試験体を対象として、外装材を含めた精緻な数値解析モデルを用いた時刻歴応答解析を行い、実験結果の再現を試みた。本研究で得られた知見を以下にまとめる。1) モルタル壁の塗り面積による変形拘束効果を再現'するために、パネル要素によってモルタル壁をモデル化し、リンクパネで連結した構面の解析モデルのプッシュオーバー解析を行った。その結果、連続する壁の荷重変形関係は、単体の釘接合部のせん断剛性•降伏耐力から構面のせん断剛性•降伏耐カを計算する理論式の耐力の上昇と適合する結果となった。2) 本論文で解析対象とした振動台実験試験体の解析モデルでは、変形拘束効果を考慮した場合は、個別にモルタル壁をブレース置換によりモデル化した場合に比べ、プッシュオーバー解析において20～60%程度、畤刻歴応答解析において15%～55%程度1層の最大層せん断力が大きくなった。3) JR應取を入力波とした時刻歴応答解析ではA棟、B棟共にパネル要素を用いた解析モデルが振動台実験に近い層せん断力、層間変形を示した。本論文で提案したモデル化手法によって、構面の要素実験結果の単純加算では考慮できない軸組構法の木造住宅の外装材の影響による層せん断力の上昇が精度良く再現できる可能性が示された。モルタル壁のモデル化手法の違いにより、応答変形が大きく異なる結果となり、モルタル壁の変形拘束効果が建物全体の挙動に与える影響は大きいと考えられる。4)柱脚の浮き上がり変形については、A棟が倒壊に至る10秒より前の変形や、B棟の変形を比較すると、解析結果は実験結果よりも概ね変形が小さい傾向となっている。解析の精度を向上させるためには解析モデルの柱脚の引張バネの骨格曲線についてさらに検討が必要である。