仮想弾性境界の有用性について: 津波漂流物と構造物の衝突問題へのMPS法の応用に関する研究 その1

摘要

The objective of present paper is to establish a unified numerical system using MPS method which can solve a series of the phenomenon from the occurrence of tsunami drifting objects until collision with the structures. In the present paper, the problems of the rational and practical simulation using the MPS method in collision problem between the structure and the tsunami drifting objects are solved by the imaginary elastic boundary. The validity of MPS method with imaginary elastic boundary in the case of applying to the collision problem is clarified by the numerical and tank experiments.%2011年3月11日に東北地方を襲った震災は，死者•行方不明者合わせて1万8460名，建築物被害としては全半壊合わせて39万9617戸におよぶ。この東日本大震災は，地震被害よりも津波よる被害が甚大であり，東日本大震災では，岩手県，宮城県の沿岸域で津波高さ10メートル前後の津波が来襲したとされている。この様な大きな津波に遭遇しながらも一般の人々や報道関係者等を中心に多くの映像記録が残されており，これらを有効に利用することにより今後の津波防災•減災対策に役立てることが極めて重要である。今回の津波災害で特徴的であったのは，船舶，自動車，コンテナ等が津波漂流物となって少なからず建築物を含む構造物に被害を与えたことが明らかになっている。この様な津波による構造物の被害のメカニズムを整理検討し，沿岸域の構造物の耐津波設計に対する合理的な荷重算定法を提案する必要があり，そのためには次の三つの課題について今後検討されるべきである。①建築センター提案の静水圧近似を基にした建築物に作用する津波波圧算定式の適用範囲を明確にする。②津波遡上時の建築物に作用する津波力及びRC建築物における洗堀の影響の評価法について。③津波漂流物が沿岸域の建築物を含めた構造物に与えうる衝突力の実用的推定法の検討。以上，大略前述の3課題であると思われる。