施工条件及び繰り返し載荷が羽根付き杭の水平抵抗特性に及ぼす影響

摘要

筆者らは，羽根付き杭周辺の粘性土地盤においては杭の回転貫入を伴う施工により，密度の增加，構造の脆弱化及び隙間の発生という土性変化が生ずる場合があることを報告している。当該報告においては，実大杭の水平載荷試験により，施工時の杭1回転あたりの貫入量（s,以下：貫入ピッチ）と羽根1巻きあたりの間隔(P)の比(s/p)を1.0,羽根径(Dw)と杭軸径(Dp)の比(Dw/Dp)を2.0とした場合の水平方向地盤反力係数（以下，kn)が，プレボーリング工法により施工されたストレート形状の杭（以下，ストレート杭）のk_hよりも低下したことも確認されている。また，D_w/D_Pをパラメータとした実大杭の水平載荷試験により，D_w/D_pと羽根付き杭のK_hが負の相関関係にあること及び繰り返し載荷による増分変位 (Δy)は，D_w/D_pが大きくなるに従い大きくなることについても報告している。これらの結果については，D_w/D_pが大きくなるに従い羽根が地盤を乱す領域が大きくなるため，密度増加の影響よりも構造脆弱化及び空洞発生の影響が卓越するためであると推察している。