高耐久化•維持管理性向上•生産性向上を目指したPC橋の建設: 新名神高速道路 武庫川橋（仮称）

摘要

西日本高速道路㈱(以下，NEXCO西日本)関西支社では，開通後40年以上経過した名神高速道路や中国自動車道の劣化の顕在化を鑑み，高耐久化への取組みを最重点課題として新名神高速道路の建設を進めている。具体の取組みとして「強い道創りプロジェクト」を立ち上げ，橋梁などの構造物において「強い道」を目指して目標ビジョンを掲げており，代表的な項目に「高耐久な橋」「維持管理の軽減」をあげて計画•設計•施工が進められている。一方でわが国では，いわゆる「担い手不足」が喫緊の課題となっている。これに対して先般,国土交通省から建設業界に「生産性向上」の指導が出された。合理化•省力化•情報化施工により生産性を向上させ，技能労働者の不足分を補うというものであり，これらを推し進める有効な技術として「プレキャスト技術」の活用が促されている。このような状況のなか，上下線一体の広幅員，100mの長支間，50m〜80mの高橋脚という条件を有する新名神高速道路武庫川橋において，現在のわが国のニーズである高耐久化•維持管理性向上•生産性向上を目的とした橋梁計画を実施し，建設に至った。本稿は，高耐久化•維持管理性向上•生産性向上という観点から，新名神高速道路武庫川橋の設計•施工について報告を行うものである。