吹出し管を備えた吸込みノズルの 空気輸送特性におよぼす吹出し口位置の影響

摘要

食品原料，化学原料，医薬品原料，工業原料などに見られる粉粒体の製造技術の高度化，自動化に伴い，粉粒体輸送の需要がさらに増すものと思われる。粉粒体の輸送法の中に空気輸送があり，その短所[1]である消費動力が大きい，管路内壁が摩耗するなどの課題を改善するために高濃度の低速輸送が行われている。この空気輸送装置の粉粒体供給部[2]の高濃度化と高効率化を図るため，著者らは吸込みノズルに着目し，その中心軸上に噴流吹出し管を設けることを提案した。その結果，粉粒体が流動化され，吸込みノズルの性能が向上した[3]。これまでの研究では吸込みノズルの幾何形状に着目し，管径比[4],吹出し管挿入長さ[5]および吸込みノズル深さ[6]の影響について調査し，吸込みノズルの性能におよぼす最適な寸法を求めた。また，被輸送物としての粉粒体に着目し，準備段階としての吸込み流速[7],そして粉粒体の粒子径[8]の影響について調査し，その特性を明らかにした。吹出し管を吸込みノズルの中心軸上に設ける従来の方式では，吸込みノズル下端周りからの吸込み流に対し，吹出し流が対向する形で吸込みノズル内へ合流する流入方式となる。一方，吹出し管を吸込みノズルの外側に設ける方式では，吸込みノズル下端周りからの吸込み流に対し，吹出し流が並行する形で合流する流入方式となる。著者らは，これまで粉粒体の流動化を積極的に利用する前者の向流式について調査してきた。一方，後者の並流式については，流動化作用が吸込みノズル下端周りからの粉粒体流入の阻害要因となるものと想定され，調査していない。これまでに吸込みノズル外管を設けて自給式の二次空気[9,10]を利用する方法は紹介されているが，積極的な吹出し流の制御による方法は著者らの知るかぎり国内外を問わず報告されていない。また，今回報告する吹出し口位置の比較という観点での評価も皆無である。