第1章 粒子の性質と測定1.9粒子間相互作用力1.9.5粒子間相互作用とシミュレーション

摘要

1.9.4項まで，さまざまな固体間の相互作用を，理論および実験の面から解説してきたが，これらはおもに二つの表面に働くいわゆる「静的な」相互作用である。これらは粒子間の分散，凝集，付着や構造形成などの挙動に重要な影響を与える一方，粒子のマクロな集団としての流動特性，凝集過程，沈降過程などの挙動の詳細については，二表面の相互作用のみでは予測•解析は困難である。このような動的あるいは非平衡における挙動については，分散媒を介した粒子の流体力学的な運動やそれによる相互作用，多粒子間の衝突や摩擦が複雑に関与するため，実験では再現性の問題や，さまざまな因子の影響を適切に分離することへの困難さが避けられない。また，理論的な取り扱いもきわめて難しい場合が多い。