大腸菌群数と用途別の建物データの相関分析

摘要

In previous studies, it has been found that total coliform is highly correlated with building data. After classifying building data in the basins of Oita and Ono Rivers according to its use, we analyze and evaluate correlations between the classified building data and total coliform in June. As a result of the analysis, we found that total coliform is highly correlated with the commercial and educational welfare facilities.%現在，河川や沿岸域などの水環境が病原性細菌やウイルスによって汚染されていることが問題になっていることから，衛生管理のための汚染指標として用いられている大腸菌群と，気温や水温，pH値，濁度，降雨量との相関関係を調査する研究が行われている（鶴保，1992;古川ら,2010,2011;和波ら，2010)。また，大腸菌群と土地利用（平岡ら，2014a)や建物データ（平岡ら，2014b)などの項目との相関関係を調査する研究も行われている。平岡ら（2014a)の研究では，土地利用の建物用地と大腸菌群数の相関が比較的高いことが明らかになっている。また，平岡ら（2014b)の研究では，建物データを軒数と建築面積，延床面積で数値化した場合，延床面積が大腸菌群数と相関が最も高くなることも明らかになっている。つまり，建物に関する情報が大腸菌群数と高い相関があると考えられる。これらの平岡らの研究において，さらなる知見として，大腸菌群数の観測地点から約2km圏内の土地利用の建物用地と，3月と6月の大腸菌群数を用いた場合に，比較的相関が高くなることが明らかになっている。また，約7km圏内の建物データと6月の大腸菌群数を用いた場合に相関が高くなることも明らかになっている。これらの平岡らの研究は，半径が約10km圏内の同じ地方都市（大分市）において実施されている。