セルロース基質用に顔料べースインクジエット捺染および抗菌特性を改良するための水溶性カチオン化キトサン誘導体

摘要

1-4ダルコシド結合によって連結されたダルコサミンおよびN-アセチルダルコサミンュニットのポリマーであるキトサンは、甲殻類、菌類および昆虫類等の広い範囲で発見できる二番目に豊富な天然ポリマーである。キトサンの化学は、セルロースのそれに類似する。しかし、セルロースの2-ヒドロキシル基が、一級脂肪族アミノ基で置換されたものである。この多糖類は、無毒性、生物的適合性、生分解性、化学反応性および皮膜形成能等のような有益な特性を持っている。そしてそれは、テキスタイル分野のために重要なバイオポリマーである。Eomは、帯電防止加工を作るため触媒を使用したキトサンのアミノ基および酸を用いてヒドロキシル官能基を架橋した。Tsengらは、大気圧プラズマによって活性化した後、キトサンオリゴマーおよびキトサンポリマーを用いてグラフトされたナイロンテキスタイルの特性を評価した。キトサングラフトナイロンテキスタイルは、生体適合性と同様、良好な抗菌性の可能性を示した。しかし、キトサンは強い水素結合を形成するため、水中では不溶解性である。そのため利用には厳しい制限がある。利用を拡大する目的のため、キトサンの水溶性を開発する1つの試みとして、Maらは、Michael反応によって水溶性キトサン誘導体の合成を報告した。溶解能力および紫外線吸収の利点から、キトサン誘導体を日焼け止めとして使用する新しい可能性を開いた。Zunigaらは、改質されたキトサン上にプロピル鎖を導入した。そしてそれは、新しい誘導体の制御された溶解特性に対して親水性および疎水性のバランスの存在を与えた。染料ベースおよび顔料ベースのインクは、2つともに市販のテキスタィルインクジエット捺染インクである。染料べースおよび顔料ベースのインクを用いた比較では、その容易さおよび利便性の理由で、テキスタイルインクジェット捺染技術が利用された。捺染品は、スチーミングおよび洗濯のない単純熱キュアーによって達成された。したがって、顔料ベースのインクを用いたインクジェット捺染は、幾らかの欠点が存在する。インクジェット捺染品質、特に捺染試料の色深度および線幅精度を高めるために、特に低粘度の水溶性顔料ベースインクを用いて主にインクのブリージングを行なう。Kanikらは、コールドバッチ法を使用し2,3・エポキシプロピルトリメチルアンモニゥムクロイドを用いて綿織布を改質し、インクジェット捺染品質に及ぼすカチオン化効果を調査した。Choiらは、綿織物用デジタルインクジェット捺染に対する前処理捺染ペーストでのキトサンの可能性および有効性について研究した。その結果、キトサン処理が捺染の線幅精度を高めた。Supapornらは、インクジェット用インクによる捺染に対してポリエステル織物のキトサン前処理で改善した。織物のK/S値、色域、階調再現、線幅精度および表面状態などが、キャラクタリゼイションされた。本研究の目的は、水溶性キトサン誘導体の調製および綿基質の水溶性顔料ベースインクジェット捺染と抗菌特性を改良し、それを利用することにある。キトサンおよび水溶性キトサン誘導体の構造を、FTIRによってキャラクタリゼイションした。コントロールおよび改質された綿繊維の表面形態を、SEMによって観察した。インクジェット捺染試料のカラーイールド、線幅精度、捺染パターン、.色堅牢度、抗菌活性および風合い等について考察した。