ストレンジネスが拓くエキゾチックな原子核の世界

摘要

原子核は陽子と中性子というたった二種類の粒子で出来ているにもかかわらず、状況に応じて様々に姿を変える多様性をもった系である。この原子核の世界は今日様々な方向に広がりつつある：アイソスピン方向へ広がったものが不安定核、そしてストレンジネス方向へ広がったものがハイパ一核・K中間子原子核である。本講義録では、主にストレンジネスをもつ原子核の新たな面白さを紹介する。構造の観点から原子核（安定核・不安定核）の多様性を示したのち、核子の仲間であるハイペロンが加わったハイパ一核に現れる新しい束縛機構、そしてK中間子原子核のエキゾチックな性質、また研究の現状及び課題を述べる。