格子QCD数値シミュレーシヨンによるH-ダイバリオンの発見

摘要

近年、格子QCDの数値シミュレーションを用いたマルチ·ハドロン系の研究が進んでいる。私の属するHAL QCD Collaborationはこの分野で世界をリードしている。まず最初に核力の中心力ポテンシャルが導出され、続いてテンソル力が導出された。現在は、ハイペロン力を含む一般のバリオン間力、P波核力、メソン·バリォ ンカなどへと広がっている。同じ方法を用いると、H-ダイバリオンの存在をQCDから探る事ができる。H-ダィバリオンはバリオン数B=2を持つハドロンでぁリ、今から35年前にQCDの有効模型の研究から存在が予言された。今日までの加速器を用いた実験では発見されていない。我々が格子QCDの数値シミュレーションと解析を注意深く行ったところ、フレーバー対称極限と呼ばれる仮想世界にH-ダイバリオンが存在する事が判明した。この発見は、長年の未解決問題を解く大きな前進として、高く評価されている。本稿では、この成果について.方法から結果までを非専門家を対象として解説する。紙数の関係で省略した部分もある。不十分な部分は参考文献で補つていただきたい。