推論による情報漏えい防止のためのハイパーグラフモデル

摘要

インターネット技術等の発展に伴い，人類が創出る情報量は爆発的に増加している．また，SNSやクラウドサービスの台頭により，それらの情報へのアクセス及び解析が容易になった．特に近年は，ライフログと呼ばれる個々人のディジタル活動記録の有効活用に注目が集まっている．このような情報爆発時代においては，蓄積された膨大な情報群を解析することによって秘密情報を得ようとする攻撃に対応できる新しい情報漏えい対策ヤプライバシー保護対策が必要となる．従来の主な情報漏えい対策の目的は，個人情報や企業機密のような秘密情報がそのまま丸ごと漏えいしないようにすることであった．しかし，つひとつの情報それ自体は秘密情報ではなくても，それらが複数集まり何らかの推論を施すことによって，秘密情報を抽出できてしまうこともある．そこで本論文では，ハイパーグラフを用いてこの問題をモデル化することを提案し，推論攻撃に対する安全性を定義した上で，提案モデル上で考えるべき問題について検討した．