記憶は脳のどこにあるのか？なぜ覚えられる？なぜ忘れる？記憶の本質を探究！

摘要

記憶は脳の中のどこに，どのようにして蓄えられているのだろうか？誰もが疑問に思い，そして知りたい謎である。しかしこの謎に完ぺきに答えられる人間は，残念ながら存在しない。そう，日々研究を進めている脳科学者たちでさえも，答えにはたどり着いていないのである。それもそのはずである。人間の脳には1000億の神経細胞があり，それぞれの神経細胞は数千から数万個程度の“手”をもち，さらにこの“手”をつないで1秒間に数十回以上も“会話”をしているのだという。これほど複雑な脳である。「脳で脳のことを理解できるのか」という哲学的な問いかけをもちだすまでもなく，その理解は大変な仕事であることがわかる。でも，ひるむ必要はない。記憶の謎のカギは，この“会話”に秘められているうしいことはわかっている。研究は確実に進んでいる。とくに分子レベルでの研究の進展はめざましい。記憶の本質とは何か，そして脳科学者たちは現在，何に頭を悩ませているのだろうか。