月評

摘要

10月号は，近年の恒例となっている「木造特集」である.冒頭に木造•木質化の背景や行方を探る識者による論考7編を置き，続いて多岐にわたる木造の建築作品20題が並ぶ構成となっている.今月号に限らず，最近の誌面には，木を活用した作品が数多く掲載されており，「木の時代」とも言える様相を呈している.そうなると，作品批評に入る前に「なぜ木造か」を問うてみたくなる.そこで特集記事：木造隆盛時代のその先にという主題のもとに収録された論考を読むと，日本の森林や林業の現状，木造建築の設計•生産•流通の技術開発，木造•木質化を推進する社会制度の整備，地球環境問題への関心の増大などの諸要因が重なり合って，木造建築の潮流に繋がっていることが分かる.