高シリコン含有アルミニウム合金の摩擦摩耗特性に及ぼす 各種潤滑油添加剤の影響

摘要

High silicon content aluminum alloys are used in machine parts which need weight saving and wear resistance. The application of aluminum alloys in automotive engines is being undertaken. On the other hand, zinc dialkyldithiophosphate (ZnDTP) has been the most widely used lubricant additives in the engine, but it is known that ZnDTP can easily cause sludge and catalyst poisoning. Therefore the development of alternative additives has proceeded. In this study, rnction and wear properties of the high silicon content aluminum alloys and CrN (chromium nitride) are investigated by using a block-on-ring type sliding tester in lubricating oils with ZnDTP or sulfur containing anti-wear agents. As a result, the friction coefficient in the case of ZnDTP was higher than that of non-additive. And the friction coefficient in the case of sulfur containing anti-wear agents were lower than that of non-additive. Both ZnDTP and sulfur containing anti-wear agents improved wear resistance. Tribofilms formed by the additive in the wear track affected the friction and wear properties.%近年，環境問題の深刻化にともなって自動車の co_2排出量などの規制が大幅に強化されており， 自動車産業はその対応に追われている.排出ガス の低減や燃費向上を実現するには，エンジンの燃 焼効率と併せて軽量化と摩擦損失の低減が不可欠 である.エンジンブロックには従来，铸鉄が用い られてきたが，軽量化および冷却性能向上を目的 としてアルミニウムの使用が増加している]).軟 質なアルミ-ゥムブ口ックは铸鉄ブ口ックと違レ、， そのままではビストンリングとのしゆう動に耐え られないため，铸鉄シリンダを挿入するタイプが 一般的である.—しかし铸鉄シリンダを挿入するこ を排除したZP (ジアルキルリン酸亜鉛）が新規に 開発されたが4), ZPは軟質な金属硫化物を生成し ない理由でZnDTPよりも極圧性が劣るとされて いる.非鉄金属の一つであるアルミニウムは，添 加剤との吸着反応が大きく異なることから様々な 研究が進められているが5),高シリコン含有アル ミニゥム合金の摩擦摩耗特性に及ぼすZnDTPや 代替添加剤の影響に関する報告は少ない. とによって，製造工程の複雑化や重量の増加，そ して冷却性能の限界などの問題点が残る.そこで 铸鉄シリンダを使用しないアルミニウムのシリン ダブロックのしゅう動面を得る技術として，繊維 強化などの表面改質あるいは粒子分散めっきや溶 射などがあるが，このような付加的な処理をしな いアルミニウムブロックとして，耐摩耗性に優れ た高シリコン含有アルミニウム合金が注目されて いる~(2)).—方，エンジンオイルに配合されている ジアルキルジチォリン酸亜鉛（ZnDTP)は耐摩耗 剤，酸化防止剤として長く使用されてきたが，ス ラッジの生成や触媒被毒などの原因になることか ら代替添加剤の開発•実用化が求められている3). 代替添加剤としては，ZnDTPの分子構造から硫黄