高 Si 含有Al 合金の潤滑摩擦摩耗特性に及ぼす各種潤滑油添加剤の影響

摘要

近年，環境問題の深刻化にともなって自動車のCO_2 排出量などの規制が大幅に強化されており，自動車産業はその対応に追われている．排出ガスの低減や燃費向上を実現するには，エンジンの燃焼効率と併せて軽量化と摩擦損失の低減が不可欠である．エンジン効率向上のため，しゅう動部材の軽量化が進められており，Al 合金が適用される事例が増加している．なかでも高Si 含有Al 合金は耐摩耗性に優れ，軽量と耐摩耗性が要求される機械部品に使用されている．一方，エンジンオイルに配合されているZnDTP は耐摩耗剤·酸化防止剤として長く使用されてきたが，スラッジの生成，触媒被毒などの原因になることから代替添加剤の開発，実用化が求められている．しかしながら，高Si 含有Al 合金に対してZnDTP や代替添加剤の摩擦摩耗特性に関する報告は少ない．本研究では，ZnDTP と2 種類の硫黄系耐摩耗剤をそれぞれ混合した潤滑油中にて高Si 含有Al 合金の摩擦摩耗試験を行い，各種添加剤が摩擦摩耗特性に及ぼす影響について考察した．