脱離イオン化の変遷と生体高分子測定への応用

摘要

質量分析におけるイオン化とは，試料分子にただ電荷を与えるだけでなく，電荷を与えた状態で気化させるこどを指す．この電荷を与える過程と気化の過程の両方をほぼ同時に起こすイオン化法が脱離イオン化である． 脱離イオン化は，局所領域に対して高いエネルギーが短時間のうちに与えられるこどによる広義のスパッタリング現象を利用している．現在最も広く用いられる脱離イオン化法はマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)ど言って差し支えない.その応用範囲は広く，低分子から高分子，研究目的から検査目的までとさまざまである．本概論では，MALDIの応用例どして生体高分子測定に焦点を当てながら，関連する脱離イオン化の変遷を振り返る．