画像を用いた高齢者居住施設の「家庭らしさ」に関する感性評価: リビングの空間構成要因に注目して

摘要

近年，高齢者居住施設においては，その集団管理的な住環境の見直しが進んでおり，入所者（高齢者）の自立や尊厳を高め，長年住み慣れた自宅と同じような暮らしが実現できるような配慮や工夫が求められている.そして，建築•福祉•医療等の専門家によって個室化，畳の小上がりや庭に面した縁側の設置，照明や調度品の工夫などの「家庭的な環境づくり」が盛んに行われている.ただし，それらはサービスの提供者側(専門家）の考える「家庭らしさ」であり，本来最も尊重すベき住まい手（高齢者）の意見や要望が反映されるケースは極めて少ない.また，既存研究をみても，建築士や施設職員が捉える「家庭らしさ」について調査した研究はあるが，一般の高齢者を対象とした研究はほとんどみられない.