公的文書の電子保存および電子署名に関する現状と課題: 照射録の電子保存は可能になったのか

摘要

2005年3月31日に「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律等の施行等について」と題する医政局長・医薬食品局長・保険局長の連名による通知（以下「通知」）が出され，e-文書法に基づいた診療録等の電子保存の新たなフレームワークが提示された．電磁的記録による保存の対象となる文書が拡大されるとともに，スキャナで読みとった文書や署名が必要な文書についても，その基準が示され電子保存が可能となった．従来は署名が必要であるため電子保存の対象ではなかった照射録も，法令に明確な保存義務が示されていないためe-文書法の対象ではないとの解釈を示しながらも，前述の基準に従うことにより電磁的記録による作成・保存が可能とされた．