火山の恩恵: リスクを知り楽しむ

摘要

本稿では、火山のプラスの側面に着目し、危険性を知ったうえで、どう火山と向き合い、楽しむかを考えてみよう。火山の専門家は、火山という言葉を聞くと職業柄周两の人に危険性や災害についてカをこめて語りがちである。そのことがマイナスィメージを振りまく「火山学者=貧乏神」という印象を与えてしまつているようにも思える。しかし大多数の人にとつて火山とはどういうイメージであろうか？例えば、阿蘇を訪れている観光客の大部分は、ここが噴火をして災害を発生させる場であると考える人はほとんどいないであろう。むしろ、壮大な景色と火山活動に圧倒されているようにも思える。日本の34ある国立公園のうち、活火山が関係している公園は21もあり、人々が訪れ憩う場として、火山や温泉は古くから親しまれてきた。專門家は、自らの視点をしばし忘れて、一般の人々の視点を出発点として考える必要がありそうである。