実写画像を元にした海上仮想環境

摘要

近年、デジタルカメラの機能強化とソフトウェアの改善により、パノラマ画像は一般的なものとなっている。通常、撮影者の視点でカメラを回すことにより作成可能となる。それは、パノラマ画像を作成するのには画像間の特徵点が対応していなければならないためである。カメラの視点が移動してパノラマ画像を作る際には、画像間の特徵点の対応などを求める必要があり、作成が難解になる。カメラを対象物に対して主にこ移動させたときの動画像から1枚のパノラマ画像を生成する手法が提案されている。これにより、長い廊下の壁など、写真だけでは全景が収まらないような景色を再現できるなどの利点がある。さらにパノラマ画像を利用し、3次元環境を構築する研究もなされてきている。パノラマ画像を組み合わせウォークスルー可能な仮想3D空間を構築するシステムPasQの作成手法が提案されている。また、大量の画像を蓄積し、これらの実画像を様々に加工·処理し、再構築することで撮影点以外での視点映像を作りだすイメージベースと呼ばれる手法が注目されている。イメージベースによる手法を用いて、より自由に、広範囲にわたり、都市空間という広域環境をリアルにレンダリングする手法が提案されている。この手法は、直線経路に沿って限定される任意視点からの画像生成を可能にしている。これを海上において考える。洋上風力発電施設などの大型構造物や海上灯標などを構築する場合、計画段階である程度周囲との関係が把握でき、船舶から見た視界の変化や景観に対する影響を検討できる。