まちなかの暑さ対策の最近の動向

摘要

近年，都市の暑熱化が進んでいる.地球規模の気候変動の影響により猛暑日などの著しく暑い日が増している.また，ヒートアイランド現象は特に夜間の気温低下を妨げ，都市では終日，熱ストレスにさらされながらの生活を強いられている.一方で，私たち人間は体温を一定に保っための優れた体温調節機能を有している.しかし，厳しい暑さのなかで，体温調節が追い付かずに体の中心の温度が上昇してしまうことなどにより熱中症を発症し，最近では救急搬送される人の数が毎年50,000人程度で推移している.さらには，体温調節機能が衰える高齢者を中心に，熱中症で死亡する方が年間に1,000名を超える年も見られる.そのような背景のもと，国や地方公共団体などではここ数年，施策として暑さ対策に取組む状況が見られる.本稿では，全ての施策等を網羅することはできないが，その一部を紹介することで，暑さ対策の施策動向を把握するとともに，暑さ対策の普及に向けた課題や日本ヒートアイランド学会への期待などについて私見を述べたい.なお，紹介する施策等の前後関係を把握しやすいように，年の表記は西暦に統一する.