LSIのパワーデリバリーを支えるマイクロ磁気デバイス/マイクロ電源

摘要

Society 5.0における電力消費をIoTセンサの観点で考えると，1個のセンサの消費電力を1mWと仮定してもTrillion Sensorsでは100万kWという原発約1基分の電力が必要となる。Trillion Sensorsをワイヤードで電源線と信号線を接続すると膨大な数の電線が必要になるので，多くのセンサではセンサ信号を無線で送り，環境エネルギーを利用するエネルギーハーべスティングに頼ることになるだろう。本特集でも解説されている“磁歪式振動発電”は磁気技術を利用したエネルギーハーべスティングの一つとしてIoTを支える基盤技術と位置付けられる。一方，AIと電力消費の関係の一つの例として，中国の棋士である柯潔九段に勝利したアメリカGoogleのα碁の消費電力は250 kWに達することを考えると，全世界のAIを機能させるためには莫大な電力エネルギーが必要になる。また，ビッグデータが集まるデータセンターでは，2016年の時点で世界全体の電力消費の約2%を占め，今後，年率10%で電力消費が増大していくと予想されている。データセンターの電力消費はサーバゃストレージなどのIT機器本体とそれらを冷却する空調設備で占められており，空調電力は全体の30〜40%，ほぼ同じ量の電力をサーバが消費し，サーバの消費電力の約70%をCPUが占めている。