オンスクリーンキーボードを用いた視線入力による文字入力作業における視線の運動解析

摘要

近年，重度肢体不自由者が支援機器を用いるときの入力法として，視線入力が一般化してきている．現在の視線入力のユーザインターフェースであるオンスクリーンキーボードは，従来の方法を踏襲しており，必ずしも眼球運動の特性·視覚認知特性を考慮して設計されていない．そこで本研究では，視線入力に適したインタフェース設計の基礎研究として，視線入力を用いた文字入力で生じる視線停留の「場所·時間」「ターゲットキーからの相対位置」を明らかにすることを目的とした．キー形状は円と正方形の2つとした．視線停留を停留時間によって「短時間停留」「長時間停留」「文字入力」の3つに分類し，各発生率を調べた．その結果，文字入力と長時間停留の発生はターゲットキーおよびその周辺キーでみられ，短時間停留の発生は非ターゲットキーでも広範囲でみられた．円形キーの場合，長時間停留と文字入力はターゲットキー周辺の比較的狭い領域で発生する傾向がみられた．