文献紹介

摘要

RAFT重合はプロックポリマー合成の有力な手段である。しかし，バルク重合では重合速度が非常に遅くなる。ミニエマルション状態でRAFT重合するとバルク状態よりも速く好ましい。さらに，溶剤を使わない以外に用途によってはそのまま使える利点もある。ミニエマルシヨン重合で速い理由は，サブミク口ン単位にモノマーとポリマーの混合物を分割することによって起こる1粒子内にはラジ力ルは一つかないかの状態になることに依存する。本報では，重合速度およびリビング率を正確に測定した結果を報告する。まず，末端にRAFT基をもったMMAポリマーを作り，これにスチレンを加えてSDS (界面活性剤)水溶液に超音波を用いて強力に分散してエマルションとしKPS開始剤で重合する。比較のためのバルク状態での重合はAIBN開始剤を用い同じ量のラジカルを発生する条件で行う。バルク重合でこの条件では24時間重合しても10%程度しか反応せず，かつRAFT基を末端にもつMMAポリマーの分子量による差はない(分子量が高いとRAFT基の添加量少なくなる)。一方，ミニエマルシヨン重合の場合にはRAFTのない場合よりは低下するが，20時間で100%重合することができ，その速度はRAFTの量に反比例する。分子量も高くなりリビング性が高い。したがって，バルクの場合には不可能なトリプロックポリマーの合成も可能になる。