第11回測定不確かさ関運の文献紹介(2) ISO/JISの紹介

摘要

「計測における不確かさの表現ガイド」（GUM)の規格としての出発は不幸なものであった。 計測関係者にとっては，不確かさの基本文献，すなわち，教科書として広く受け入れられたが， GUMが1993年にISOから出版されたとき，国際的な計測関連7機関の連名であつたため，ISO/ IECの規格体系の中での位置付けは不明確であった。ある人は"Super Standard"だと言ったり， ある人は無視をしたりで，GUMの受け取り方は様々であった。そのため，規格を開発する上で GUMは必ずしも尊重されたわけではなく，従来の誤差の考え方のままの規格も開発されており， 計測関連以外の規格での不確かさの導入は遅れている。GUMの発行後，GUM検討の母体になつた専門諮問グループISO/TAG 4 Metrology (計量）， また，IECとの合同専門諮問グループ（JTAG 4)が組織され，検討が進められたときもあつたカ^ 1997年のJCGM (Joint Committee for Guides in Metrology)の発足に伴つて，その活動の主体 はJCGMに移った。2007年から2009年にかけて，JCGMで原案が作成されたGUM本体及び関 連文書とVIM第3版が，ISO/IEC Guide 98, 99として正式にISO/IECの規格体系の中に位置付 けられたことをきつかけに，今後，各分野での規格に不確かさが導入されていくことになると思わ れる。