特別支援教育のための音環境デザイン

摘要

障害を持つ子どもに対する教育は，従来「特殊教育」として盲•聾•養護学校において行われてきたが平成19年度より「特別支援教育」として実施されることとなった。文部科学省は，「特別支援教育は，発達障害のある子供も含めて，障害により特別な支援を必要とするすべての子どもが在籍するすべての学校において実施されるもの」としている。平成24年には，インクルーシブ教育システム推進の方針が示され，通常の学校にも特別な支援を必要とする子どもの学びの場としての配慮が求められるようになった。本稿では，特に近年重要性の認識が高まっている知的障害や発達障害を有する児童のための学習空間の現状や音環境の改善手法について，著者が関わった調査や環境設定事例を中心に紹介し，望ましい音環境デザインを考える手がかりを提供したい。