辺野古裁判の検証と今後の展望と課題

摘要

翁長知事は，2015年10月13日に，前知事の行った辺野古埋立承認について，公有水面埋立法4条1項1号および2号の要件を充足しないと判断し，辺野古埋立承認の取消しを行った.その後，国は沖縄県(翁長知事)を相手に，地方自治法に基づく国の関与や一連の訴訟を提起し，沖縄県もこれに法的に対応してきた.一連の辺野古裁判(争訟)で，国は，東アジアの脅威を煽り，基地やオスプレイの存在によって，国民の安全が確保できると主張した(抑止力論).これに対して，沖縄県(翁長知事)は，沖縄の基地の過重負担およびそれに起因する人権や環境の侵害を訴え，地方自治や民主主義の根幹が問われる裁判と位置付けて国と争った.